「ペーパーが嫌い」と言ったあの子の変化
ある日の夜中、私の携帯に一本の電話が鳴りました。
「うちの子が、家出しようとしているんです…どうしたらいいでしょうか?」
一瞬、言葉を失いましたが、すぐに思いました。
──この子、すごく大人だな、と。
実はその前から、私はその子のお気持ちを何度も聞いていました。
「お母さんと一緒にいられると思ったら、すぐペーパーをやるから嫌なんだ。」
はっきりと、気持ちを言葉にできるお子さんでした。
お父様は海外赴任中で、会えるのはテレビ電話のみ。
お母様はキャリアウーマンで、保育園の時間が終わってやっと会えたと思ったら、始まるのは“勉強”──。
確かに、そんな状況では「ペーパー=お母さんを奪うもの」に感じても不思議ではありません。
でも、教室に来るのは嫌じゃない。
だったら、教室にお任せいただけませんか?
このご提案から、「朝7:00コース」が誕生しました。
登園前に教室でしっかりお勉強を済ませて、夜は大好きなお母さんと笑顔で過ごす──
そんなサイクルを作っていったのです。
お母様には、巧緻性の授業で使った教材を使って、おうちでニコニコと作品づくりをお願いしました。
勉強は教室で。おうちは安心と愛情の場に。
こうして生まれたのが、「毎日お任せコース」です。
火曜日から金曜日までは、ペーパー演習と女子校クラスを交互に。
土曜日は模試や面接練習。
教室では、当時から口頭試問の要素も含んだ個別指導を行っていました。
その子は、話す力も、思考力もどんどん育ち、
「ペーパーの解き方」にも“自分の道筋”が持てるように。
本当に、才能が花開いていくのを感じました。
今では、きっと素敵なお嬢さんに成長されていることと思います。
毎日一緒に過ごしたあの時間は、私にとっても忘れられない大切な思い出です。
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