「やさしい」「楽しく学べる」「短時間で身につく」
学習塾や教材の案内で、よく目にする言葉です。
けれど、お子さまたちと日々向き合う中で、お伝えしておきたいことがあります。
何かを本当に身につけるには、時間がかかります。
一度聞いてわかることと、自分の力でできることは、同じではありません。
昨日できたことに今日は迷う。
何度も練習したところで、また間違える。
そんな日を重ねながら、お子さまたちは学んでいます。
受験の日が近づけば、気持ちが急くのも当然です。
ただ、大人が急いだ分だけ、お子さまの理解が早まるわけではありません。
「あ、そういうことか」
「もう一問やってみたい」
「え、もう終わり?」
自分で気づき、夢中で考えていたから、時間があっという間に過ぎていた。
お子さまたちには、そんな学ぶ楽しさを知ってほしいのです。
そして、教わる時間と同じくらい、自分の内側に潜り、自分と対話する時間も大切です。
「どこでわからなくなったのだろう」
「もう少し考えてみよう」
やめたくなる気持ちとも向き合い、もう一度、問題に戻ってみる。
鉛筆が止まっていても、心の中では考えが動いていることがあります。
すぐに答えを渡さず、その時間を待ってあげたいと思います。
年長のお子さまたちは、いよいよお試験まで、あと二週間となりました。
今は、知識を詰め込み、教えてたたき込む時期ではありません。
これまで学んできたことをもとに、自分の考えを、自分の言葉にする時期です。
伝えたいことがあっても、うまく言葉にできないときには、「こう言ってみたらどう?」と、そっと支える。そして、お子さまが自分の言葉で話し始めるのを待つ。大人の答えで埋めるのではなく、ご本人の思いを大切にしてあげたいと思います。
AIから瞬時に答えを受け取れる時代になりました。
それでも、考え、納得し、自分のものにする時間は、本人にしか積み重ねられません。
二年間、一緒に学んできたお子さまたちが、まもなく教室を巣立っていきます。
迷いながらも、自分で考え、自分の言葉で伝えようとする姿に、私たちもたくさんのことを学ばせていただきました。ともに歩んでくださった保護者の皆さまにも、心より感謝申し上げます。
日常の中にお勉強がある暮らしは、もう特別なものではありません。
日々の積み重ねによって、一つステージアップした、皆さまの新しい日常です。
その日常を大切にしながら、睡眠をたっぷりとり、栄養のあるものを食べ、湯船につかって一日の疲れをとる。そして、お勉強にも丁寧に取り組む。残りの二週間も、いつもの暮らしを整えてお過ごしください。
不安になったときには、これまで取り組んできたことを、お子さまと一緒に思い出していただけたらと思います。何度も開いたペーパーも、できるまで頑張った経験も、今のお子さまを支えています。
心は穏やかに。それでも、最後まで気を緩めずに。
挨拶、話を聞く姿勢、目の前のことに丁寧に向き合うこと。
これまで大切にしてきたことを、一つひとつ続けていきましょう。
皆さん、ここまで本当によく頑張りましたね。
困ったときには、教室で一緒に考えたことを思い出してください。
最後まで、自分の力を尽くして頑張ってくださいね。
ご家族で歩んだこの時間が、いつか温かな思い出となりますように。
そして、お子さま一人ひとりに、未来が開かれますように。
教室より、心からお祈りしております。

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