小学校受験まで、あと2か月となりました。
毎年この時期になると、教室の空気が少しずつ変わります。
子どもたちも、お母様方も、そして私も。
「いよいよだな」
そう感じる瞬間が増えてきました。
今年の受験生たちを見ながら、私にはひとつ反省していることがあります。
チャレンジ模試を始めるタイミングについての、私自身の判断です。
カレイドスコープ幼児教室のチャレンジ模試は、新年長となる11月から始まります。
もちろん、入会時期も学習の進み具合も一人ひとり違いますので、全員が同じ時期に受講を始めるわけではありません。
今期は、その判断の中で、
「まだ、模試を受けるには早いのではないか」
と迷い、スタートを遅らせたケースもありました。
一人で問題に向き合うには、まだ準備が足りない。
触れていない分野もある。
この状態で模試を受けても、できない問題ばかりになってしまうのではないか。
もう少しできるようになってから。
もう少し仕上がってから。
そう考えていました。
でも、受験まであと2か月となった今、改めて振り返ってみると、
仕上がっていなくても、11月から受けてもらえばよかった。
そう思っています。
「仕上がってから」は、本当に子どもたちのための判断だったのか。
それとも、できない結果を見ることを、私自身が怖がっていただけだったのか。
だから今回、
「まだ仕上がっていないから」は、私の言い訳だった。
というタイトルにしました。
模試は「仕上がってから」受けるものではなかった
模試というと、どうしても点数や順位に目が向きます。
でも、小学校受験の模試は、それだけではありません。
お母さんはいない。
いつもの先生にも聞けない。
分からない問題が出ても、自分で考える。
一問できなくても、次の問題は始まります。
そこで気持ちを切り替え、また鉛筆を動かす。
家ではできるのに、模試ではできない子もいます。
反対に、普段は心配なところがあっても、一人になると驚くほどしっかりする子もいます。
「本番で一人になったとき、この子はどうするのか」
模試では、ペーパーの点数だけでは見えない姿が見えてきます。
それが11月に分かれば、まだ1年あります。
失敗して、直して、また翌月やってみる。
うまくいかなかったら、また考える。
その時間がたっぷりあります。
今になって、その1年間の大切さを感じています。
年中のうちに「見たことがある」を増やしておく
今年、もうひとつ強く感じたことがあります。
年中のうちに、ひと通りの問題に触れておくことの大切さです。
完璧にできる必要はありません。
でも、
「これ、見たことがある」
という経験があるだけで、新年長になってからの学習は違います。
私はこれまで、「できるようにすること」を考えすぎていたのかもしれません。
5歳、6歳の子どもたちには、できるようになる前に、まず出会っておく時間も必要です。
今年の受験生たちを見ながら、年中の学習についても改めて考えさせられました。
ペーパーだけでは育てられないもの
チャレンジ模試では、SDGsを取り入れた行動観察も行っています。
自分の意見を一生懸命伝える子。
なかなか輪に入れない子。
困っている子に気づく子。
誰かの意見を聞いて、
「それもいいね」
と言える子。
ペーパーを解いているだけでは見えない姿があります。
自分以外の人がいる。
その人にも考えがあり、気持ちがある。
小学校受験では、こうした力も見られています。
そして、こうした力は、試験直前の2か月で急につくものではありません。
模試を1年間重ねる意味は、ここにもあるのだと思います。
「ペーパーをやらせすぎたかもしれません」
昨年、受験を終えたお母様から、こんな言葉をいただきました。
「先生、うちはペーパーをやらせすぎたかもしれません」
その言葉は、今でも私の中に残っています。
記録を見返すと、今年と比べても、宿題は倍近い量でした。
私自身、
「やらせすぎだったのかな……」
と思うことがあります。
ただ、実際に受験できた学校からは、すべて合格をいただきました。
だからといって、
「たくさんペーパーをやれば合格する」
とは思いません。
でも、あれだけやり切った経験が、子どもの中に何も残らなかったとも思えないのです。
今でも私は、この答えを出せずにいます。
試験前日、大泣きしたことがありました
昨年の受験で、今でも忘れられない出来事があります。
試験前日、教室であるお子さまが大泣きしたことがありました。
翌日は試験。
私も内心、
「明日なのに、大丈夫かな……」
と焦りました。
怖かったのか。
緊張していたのか。
ずっと頑張ってきたものが、一気にあふれたのか。
あの涙の本当の意味は、今でも分かりません。
ただ、泣いている横で、
「今は涙を止めなくていい。全部出してしまった方がいい」
と思いました。
無理に励ますこともせず、泣き止ませることもせず。
ただ待ちました。
1時間ほど経った頃、ようやく涙が止まりました。
私は今でも、
あの涙が、翌日の緊張を少し外へ出してくれたのではないか。
そう思っています。
翌日、無事に試験会場へ向かい、教室にもニコニコ顔で試験内容を報告してくれました。
そして、合格をいただきました。
受験は、最後まで何が起こるか分かりません。
昨日まで順調だったのに、突然崩れることもあります。
反対に、ずっと心配していたことが、本番では何でもなかったようにできることもあります。
だからこそ、ペーパーだけでは足りないのだと思います。
あと2か月。ここからは「増やす」より「出せる力」に
9月は、夏の疲れが出てくる時期です。
朝、起きられない。
集中できない。
昨日までできていた問題を間違える。
親子でイライラする。
毎年あります。
でも、
夏にやらなければならなかったことは、やりました。
ここからは、新しいことを大量に詰め込む時期ではありません。
これまで積み重ねてきたものを、
「試験の日に、一人で出せる力」
に変えていく時期です。
そして、いよいよカレイドスコープ幼児教室でも、志望校別ファイナルステージが始まります。
私も毎年、この時期は胃がキリキリします。
授業では平気な顔をしていますが、
「大丈夫かな」「間に合うかな」
と考えることもあります。
教室の先生なのだから冷静でいなければ、と思います。
それでも、気持ちは、お母様方と同じです。
必ず合格させたい。
もちろん、小学校受験に「絶対」はありません。
だからこそ、最後までできることを探し、子どもたちと向き合います。
そして、今年の反省は、来年の子どもたちに必ずつなげます。
私はもう、
「まだ仕上がっていないから、模試はもう少しあとで」
とは考えません。
仕上がっていなくても、まず模試の席に座ってみる。
できなかったら、そこから始めればいい。
11月から1年かけて、少しずつ「受験生」になっていけばいい。
今年の子どもたちを見ながら、私自身が改めて教えてもらったことです。
さあ、あと2か月。
泣く日があってもいい。
うまくいかない日があってもいい。
それでも最後には、
「ここまでやったんだから、楽しんできて」
そう言って、お子さまを試験会場へ送り出せるように。
あとは、子どもたちの力を信じて。
私も最後まで、一緒に走ります。

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