【小学校受験】願書の封を開ける手が止まる、9月

ブラックツリー先生の日記

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9月に入り、願書の清書本番が始まりました。

東洋英和女学院小学部は6月から願書入り募集要項を販売していますが、多くの学校は9月に入ってから正式な願書が出ます。

慶應義塾幼稚舎、暁星小学校、学習院初等科、青山学院初等部は、9月から願書の販売や出願登録が始まり、雙葉小学校も本日から出願登録が始まりました。

この数日で、今年度の願書がほぼ出そろいます。

そして毎年、ここから教室の空気が変わります。

「昨年と同じだと思っていました」

「準備した文章が、この欄に入りません」

「先生、設問が変わっています」

今年も、慶應義塾幼稚舎・横浜初等部、聖心女子学院初等科をはじめ、願書のフォーマットや記述内容に変更が見られます。

この時期になると、私も心がざわざわします。

完成したと思っていた文章を、正式な願書に合わせて壊し、組み直すからです。

一行削るだけで、お子さまらしさが消えることがあります。

整えすぎて、どのご家庭にも当てはまる文章になってしまうこともあります。

そんなときは、文章の前に戻ります。

「この言葉は、本当にお母さまの言葉ですか」

「このとき、お子さまはどんな顔をしていましたか」

「お父さまは、その姿を見て何とおっしゃいましたか」

カレイドスコープ幼児教室の願書づくりは、添削から始まりません。

受験プロデュースコースでは、必読書を読み、学校研究を重ね、ご家庭の教育方針と学校の教育方針が重なる場所を、ご家族と一緒に探してきました。

「我が家らしい教育方針が分かりません」

そうおっしゃっていたお母様が、ある日、ぽつりと話してくださることがあります。

「毎朝、玄関の靴をそろえるのは、この子なんです」

「妹が泣くと、自分のお菓子を半分にして渡します」

「できないと泣くのに、次の日には、また同じことに挑戦するんです」

学校側は、そこを見たいのです。

立派な教育論ではなく、そのご家庭の風景を書いてください。

お母さましか知らないお子さまの表情を、先生方にも見ていただきたい。

願書に必要なのは、上手な文章ではありません。

読み終えた先生の目に、お子さまの姿が浮かぶ文章です。

AIに尋ねれば、整った志望理由はすぐに作れます。

けれども、その文章の中に、お子さまはいますか。

学校案内から借りた言葉を並べ、最後に「貴校を志望いたします」と結んだだけでは、お子さまの息遣いまでは届きません。

せっかくの受験Yearです。

ご家族の想いを込めて、ご家族の手で書いてみてください。

そして、一度の添削で終わらせようとしないでください。

書いて、消して、また書いてください。

「どうして、この学校なのか」

「私たちは、どんな子に育ってほしいのか」

「そのために、毎日の暮らしの中で何をしてきたのか」

答えがきれいに出てこないところほど、何度も話してください。

お父さま・お母さまの意見が違っても構いません。

むしろ、違うことに気づかないまま面接の日を迎える方が怖いのです。

願書を書き上げたら、今度は話します。

話して、話して、また話します。

最初の面接練習では、願書に書いたことを、そのまま読んでいるように話すお父さまもいらっしゃいます。

お母さまの答えを聞いて、初めて知ったような顔をされるお父さまもいらっしゃいます。

途中で言葉に詰まり、涙をこらえるお母さまもいらっしゃいます。

そこから始めればよいのです。

願書の言葉を口に出し、ご夫婦で何度も話しているうちに、借り物だった言葉が、ご家庭の言葉に変わります。

そして本番では、暗記した答えではなく、この一年間、家族で温めてきた言葉が出てきます。

私は、それが言霊になる瞬間だと思っています。

10月になると、

「面接本番がうまくいきませんでした。志望校を変更した方がよいでしょうか」

というご相談をいただくことがあります。

その言葉を聞くたび、悔しくなります。

お子さまは、この夏、何度も問題を解き直しました。

眠い朝も教室に来ました。

できなくて泣いた日も、次の授業には、また鉛筆を持って座りました。

今度は、お父さまとお母さまが練習する番です。

一度でうまく話そうとしないでください。

お子さまが何度もやり直したように、お父さまとお母さまも何度もやり直してください。

カレイドスコープ幼児教室の生徒は、夏休みの間に願書の素案を作っています。

9月は、正式な願書に合わせて修正し、清書へ進む時期です。

ここからは、迷っている時間より手を動かす時間です。

書く。
消す。
声に出す。
もう一度書く。

願書を清書するときは、その学校の制服を着たお子さまを思い浮かべてください。

入学式の朝、少し大きな制服を着て、玄関に立っている姿。

振り返って「行ってきます」と笑う顔。

その姿を思い浮かべながら、ニコニコしながら願書を書いてください。

お母さまの顔は、文字に出ます。

焦って書いた文字と、お子さまの未来を信じて書いた文字は、違います。

最後に、卒業生の保護者さまから教えていただいた、清書用ペンの使い分けをご紹介します。

・住所・氏名などの大きな欄:1.0ミリ
・職業・備考などの小さな欄:0.38ミリ
・志望動機などの本文:0.5ミリ
・文字数が多い場合:0.38ミリ

同じ黒でも、ペンによって濃さや書き味が異なります。

必ず別の紙で試し書きをし、同じペンを予備としてもう一本用意してください。

大切な願書の最後の一行で、インクがかすれることがあります。

夏の疲れが出る時期です。

「もう十分頑張った」と思う夜もあるでしょう。

けれども、残り約2か月です。

季節の変わり目の雨で疲れをいやし

秋が始まったらもう一度、ギアを入れ直してください。

この夏、お子さまが見せてくれた頑張りを、今度はお父さまとお母さまが見せる番です。

覚悟を決めて、動くのみ。

心を込めて願書を書き、声に出し、ご家族の言葉に仕上げてください。

最後まで、一緒に走り切りましょう。

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